こんにちは、CEOの岡田です。
前回は「ミッション?ビジョン?バリュー?会社の経営理念の重要性」と題して、経理理念をつくる上でヒントになる言葉の解説とその重要性について書きました。
そして、今回はいよいよ「経営理念のつくり方」についてお話していきます!
経営理念をつくろうとしている方、つまりこの記事を見てくださっている方はこのような方ではないでしょうか。
- 会社(組織)を立ち上げた創業者
- すでにある会社(組織)を引き継いだけれど経営理念がずっと無かった方
- すでに経営理念はあるが、時代の流れに伴って形骸化(役に立たなくなっている)方
- 上記のような方を支援している方
いずれの方にとっても経営理念を考える道すじが見えず、途方にくれて、頭の中を考えが堂々めぐりしてしまうことが多いと思います。
今回はそのような方に、少しでも道すじが見える状態で経営理念をつくっていける助けになればと思います。
新たに会社を興したにしても、引き継いだにしても、考えるべき点はおおよそ変わりませんが、経営理念をつくっていく上でヒントになるアプローチ方法は少し異なる点もありますので、そこは追記形式でお話しています。
では、早速5ステップで完成する経営理念のつくり方に行ってみましょう。
<目次>
1. プロローグ 自分(会社)のルーツをひも解く
2. 5ステップで完成 3経営理念のつくり方
①やりたいことを書き出す
②やりたくないことを書き出す
③人に喜んでもらえそうなことを書き出す
④世界に喜んでもらえるかどうかを見る
⑤ことばにする。何度も何度も。
3. まとめ
Contents
1. プロローグ 自分(会社)のルーツをひも解く
ー経営理念をつくるステップに入る前に、事前準備として創業者であれば自身の、後継者であれば自身に加えて会社のルーツを紐解くことをおすすめします。
この作業をしておくことで、次からのステップを進んでいく時に迷子になることが少なくなって、とても助かります。
ルーツを紐解くときには次のような質問を自分に投げかけてみてください。
「今までの人生で一番幸せな思い出は何か」
「一番辛かった思い出は何か」
「一番怒った(憤りを感じた)出来事は何か」
「他人に褒められ、感謝されたことは何か」
つまりは、喜怒哀楽全てにおいて、自分の感情がもっとも揺さぶられ、動いた出来事はどんなことだったのか、というものを思い出すのです。
人間の原動力は感情です。それがプラスの欲望であって、「こんな思いは2度とごめんだ!」というマイナスの感情であってもそれが強いエンジンとなって進むことができるからです。
創業者の方にとっては、自身の何かしらの原体験があって、起業という道を進んでいるはずです。
なので、初期の会社にとっては「創業者の思い」が良くも悪くも強く経営理念に反映されます。
そこからメンバーが増え、時代の流れによって経営環境が変化することで、多くの関係者を含めて経営理念を見直すフェーズになりますが、まずは自分の強烈な思いを形にしていくためにも、自分のルーツを探っていくことが近道なのです。
会社(組織)を引き継いだ方にとっては、ある種、創業をされた方よりも経営のポジションにつくという選択肢が身近な環境にあったと思います。
親族の会社を継いだにせよ、出世によって会社のトップに登り詰めたにせよ、その準備期間や意識変革の相応の時間が存在しているはずです。
この部分には”だからこそ”の難しさもあります。
自身の強い原体験がないから・・・と悩む方もいらっしゃいますが、そんな時は会社の歴史を紐解いてみましょう。
会社の始まりはどのようなものだったか、創業者はどんな想いで事業を始めたのか、そしてどのような信念で長きにわたって経営をしてきたのかを知ることで脈々と流れてきた会社のDNAを知ることができるはずです。
2. 5ステップで完成。経営理念のつくり方
①やりたいことを書き出す
さて、いよいよ1つ目のステップです。
まずコーヒーでも飲みながら心を落ち着かせて、目の前に紙とペンを用意してください。
目を閉じて10秒数えたらゆっくりと目を開けて「自分がやりたいこと」そして「なりたい姿」を思いつくままに書いていきましょう。
誰に見せるものでもありませんから、見栄や虚勢は要りません。
「大金持ちになって豪邸に住む」でも
「女の子にモテモテになる」でも構いません。
重要なことは、この時自分の気持ちに1mmも嘘をつかないことです。
経営理念は会社(組織)として内外に公表し、社員一丸となって指針にするものですが、聞こえの良い、かっこいいだけの経営理念を作ったところで、周囲の心に響かないただの飾りになってしまいます。
だからこそ、このステップでは自分の気持ちや想い、欲望を全て吐き出して、生身の人間だからこそ出すことのできる原液を抽出する必要があります。
②やりたくないことを書き出す
ステップ①ができたら、次に新しいページに「やりたくないこと」を書き出していきましょう。
「こんなことは死んでもやりたくない」
「こんなことをするくらいだったら会社を畳んでやろう」
というものからスタートして、例えば「営業って苦手だから気乗りしないんだよなぁ」なんてレベルのものでもOKです。
ここについても重要なのは自分の気持ちに嘘をつかないこと。
そして、このステップでもう一つ重要なことは「(現時点で)できないこと」と「やりたくないこと」を混同しないことです。
できないことは、これからスキルと習得したり、新たに勉強したり、またはできる人を雇用することで解決することができますし、
逆に言えば、今できることだけで事業をずっと進めることは単純に退化でしかないので、ゆっくりと死んでいくようなものです。
できる・できないという観点は一度、除外して「やりたい/やりたくない」の軸で考えてみましょう。
③人に喜んでもらえることを書き出す
自分の「やりたいこと/やりたくないこと」が明確になってきたら、次に「今まで人に喜んでもらえた経験」を思い出してみましょう。
これは「喜んでもらえるだろうな〜」という独りよがりの妄想ではなく、「実際に喜んでもらえた」という経験の方がより良いでしょう。
誰にだって一つや二つ、他人から感謝された記憶があると思います。その中に自分(会社)の強みにつながるエッセンスが隠れているはずです。
「やりたいこと/やりたくないこと」で自分(会社)の原動力となるパワーを知ることは何より重要ですが、そのパワーが誰かの幸せに貢献できないのであれば
それは「趣味」になってしまいます。
自分の「やりたいこと」と「人に喜んでもらえること」が重なる部分を抽出することで経営理念の骨格に近づいていきます。
④世界に喜んでもらえるかどうかを見る
さて、ステップ③「人に喜んでもらえることを書き出す」で、だいぶ経営理念の骨格に近づいてきたのではないでしょうか。
まだまだ荒削りでカッコ悪いことばや文章の羅列で構いません。
ここまで来たら、ほとんど出来上がっているようなものです。
それでは最後に、ステップ③で重なり合った経営理念の骨格を「世界に喜んでもらえるか」という観点で眺めてみましょう。
「世界に喜んでもらえる」というのは「世の中の役に立つ」と言い換えても構いません。
例えば、「貧困をなくす」であったり、「環境問題に貢献する」という大きなテーマから「人に少しだけ優しくできる社会」や「朝起きた時に笑顔でおはようが言える家族を増やす」など、どんなテーマでも構いません。
「人に喜んでもらう」というのは大切な観点なのですが、危険性もあって、一部の人が喜ぶ行動が社会全体でみると大多数の人を不幸にすることになり得てしまうのです。
ですから、自分のやりたいことで、なおかつ人に喜んでもらえるものが見つかったら、「それは世の中全体を良くするものなのか?」と尋ねてみなくてはなりません。
この部分に関しては、人の倫理観にもよるので、十把一絡げには言えませんが、私自身は「世の中のためになる」ものでなければ長く続く会社にはならないと思っています。
日本三大商人の一つに数えられる近江商人は「近江の千両天秤」ともいうように天秤棒1本から財を築き、三都(江戸、大阪、京都)をはじめとする全国各地に進出し、豪商と呼ばれるように発展しました。
その近江商人の有名な経営哲学の中に「三方よし」というものがあります。これは「商売に置いて売り手と買い手が満足するのは当然のこと、社会に貢献できてこそ良い商売と言える」という考え方です。
『売り手によし、買い手によし、世間によし』で「三方よし」となるわけです。
伊藤忠商事|会社情報|歴史・沿革|近江商人と三方よし より一部抜粋
このように、大きな財を築いて発展していくには、自分と相手だけでなく、世間という大きな力の同意と支援を得る必要があると思います。
ですから、このステップ④では、「これは、世界に喜んでもらえるだろうか・・・」とじっくりと眺めてみてください。
⑤ことばにする。何度も何度も。
ここまで、全てのステップを実直にやってくださった方、本当にお疲れ様でした。
とても大変な作業だったはずです。頭がオーバーヒートしそうになりながら考えに考えているあなたの姿が目に浮かびます。
私の記事以外にも、このような題材を取り上げているものはいくつもありますが、そのよう記事をみても実際に一つ一つステップごとに取り組んでいくのは100人に1人もいないでしょう。
ですから、今この時点で、あなたはすでに100人に1人の存在です。もっと言えば、このようなテーマを検索して、この記事に興味を持つ人はさらに1000人に1人、1万人に1人、というような具合でしょうから、あなたはすでに100万人に1人になっていると言っても過言ではありません。
では、最後の仕上げです。
今までのステップで苦労をしてノートに書き出してきた荒削りのことば達を綺麗に整えて、仕立ててあげましょう。
このステップに関しては、何度もことばにしてみては、読み返し、また直すという作業を行います。
なんとなく不恰好だったものを肉付けし、そぎ落とし、また肉付けして・・・という工程を経て、あなたが納得する表現が出てくるまで推敲を繰り返します。
とはいえ、この領域に関してはテクニックやスキルも存在するため、もし苦手意識があってプロに頼みたい場合は専門の方に発注するのも良いと思います。
ステップ①〜④までの内容はあなたでなくては出来ない「想いを抽出する」作業です。
そこから周囲にその想いや意図、理念を伝えるためにもっとも最適なことばにする作業はプロが行っても全く問題ないからです。
例えば、Lancersやクラウドワークスのようなサービスでもコピーライティングの委託が簡単に出来ますので、ぜひ利用してみてください。
会社(組織)を引き継いだ方は・・・
すでに、ある程度の長さの年月に渡って存続している会社を継いだ方もいらっしゃると思います。
その中で、経営理念が存在しなかったので新たにつくる、またはすでにあったものをリニューアルするという大仕事に取り組まれている場合、創業者として0から経営理念をつくっていくことよりもある意味では難しいかもしれません。
そんな時はこのように考えてみてください。
まず本来、会社が長きに渡って存在していること、それだけですごいことです。
なので、気がついていないだけで絶対その会社独自の「強み」が存在しています。
「いや〜うちに強みなんて、本当にないんですよね」という人がいらっしゃいますが、地主や資産家でもない限り、事業を続けられている会社に強みが存在しないわけはないんです。
そんなに市場原理は甘くない。
だから、一度立ち止まって、メンバー全員で考えてほしいのです。自分たちでは「当たり前」だと思ってやってきていることの中にこそ、自社の強みがあるのだから。
それでもなかなか自社の強みや会社の根底に流れる信念が見つけられない場合は、古くからの取引先に聞いてみるといいと思います。
自分では思いもよらなかった「強み」が見つかることがよくあります。
私のお客様の中でも、祖父から父、そして自分への引き継いだ会社の「強み」とは何か、「経営理念」とは何かと考え、迷路に迷っていたお客様がいたが、ふと取引先のおっちゃんの「今どき、ここまでやる会社も少ないよ。先代、先先代が遺してくれたものだね〜」と褒められた時に、「なるほど、うちの強みはそこだったのか!」と腹落ちした、という出来事がありました。
ぜひ周囲の方々に聞いてみてください。
3. まとめ
この記事では、5つのステップで経営理念を策定する方法を解説してきました。
経営理念を0から自分で作り上げるには多大な労力と時間がかかりますが、以下の5ステップを実践すれば、途中で迷うことなく、効果の出る経営理念が作れるはずです。
やりたいことを書き出す
やりたくないことを書き出す
人に喜んでもらえそうなことを書き出す
世界に喜んでもらえるかどうかを見る
ことばにする。何度も何度も
今回は、私が転職を成功させるまでにおこなってきた戦略と戦術をすべてお伝えさせていただきました。実体験をもとにした、本当に役立つ転職ノウハウなので、ぜひ参考にしてください。
経営理念の重要性や、それにひもづくミッション、ビジョン、バリューの用語解説は、以下の記事をぜひチェックしてください。